ユーロ/円相場は、94円台後半まで下落する展開に。95円の節目を割り込み、約11年ぶりのユーロ安・円高水準を更新している。再び欧州債務問題を蒸し返す動きが活発化する中、ユーロ売りの動きが活発化している。
スペインの銀行向けに1,000億ユーロの支援が合意されたが、そのタイミングでスペインの地方自治体の問題が蒸し返されたことが、失望感を増幅させている。スペインではバレンシア州が20日に金融融資基金を活用する方針を示し、22日にはカタルーニャ州も基金を活用する可能性を指摘している。他にも、複数の地方自治体が支援を要請する可能性が指摘されており、マーケットの警戒感は強い。スペイン政府は、既に地方政府支援のために180億ユーロ規模の救済メカニズムを創設しているが、地方政府は下期に150億ユーロの債務償還を控えている。また、スペイン自体の金融市場へのアクセスが難しくなる中、金融市場発か地方政府発かは留保するにしても、いずれにしてもスペインの財政環境改善は難しいとの悲観的な見方が広がっている。
欧州債市場ではスペイン10年債利回りがユーロ導入後の最高を更新しており、危険水域とされる7%台を確立した感が強い。イタリアやギリシャ債利回りも再び上昇傾向を強めており、マーケットが債務問題に対する警戒姿勢を強めていることが確認できる。少なくとも欧州債市場が落ち着きを取り戻すまでは、ユーロの戻り売り優勢の展開を想定しておくべきだろう。格付会社ムーディーズは、「不確実性の高まり」を理由に、最高ランクの「Aaa」格付けを維持しているドイツ、オランダ、ルクセンブルグの格付け見通しを「ステーブル(安定的)」から「ネガティブ(弱含み)」に下方修正したことも確認しておきたい。
今後1週間の予想レンジは、93.25~95.50円。